2012年11月2日金曜日

泥の合流する場所(クアラ・ルンプール・第9日目)

マラッカを出て二時間、マレーシアの首都、クアラ・ルンプールに辿り着いた。
クアラ・ルンプールとは『泥の合流する場所』という意味であるらしい。その言葉通り、ここもまたマレー・インド・中国といった人種の人々が、シンガポールにも引けを取らないほどたくさん集まり、盛んに往来していた(結局こうなるのだったら、シンガポールを追放した意味はあったのだろうか?)。

シンガポールと同様、クアラ・ルンプールもまたとてつもない大都市だが、シンガポールと違うのは、シンガポールにはない、古ぼけて奇妙にゴミゴミとした雰囲気があるところと、それとまた同時に、大都市特有の洗練された佇まいが同居しているところだった。
町中には摩天楼が立ち並び、それをすり抜けるかのように、高架橋の上をトラムが行き来している。まるで、昭和時代と未来都市がごちゃまぜになったような雰囲気だ。

マラッカで思わず延泊をしてしまったため、クアラ・ルンプールはあまり長居せずにいようと決めていたのだが、次の日の出発の前に是非行っておきたいところが2つあった。
1つはむろんクアラ・ルンプールのシンボルマーク、ペトロナス・ツインタワーと、もう1つは水曜どうでしょうファンの道民には有名な、ホテル・イスタナである。

まずは翌日のチケットを取りにKL Sentral駅に向かった後、KLCC駅に移動した。KLCC駅はペトロナス・ツインタワーの地下と直結しており、駅を出るとタワーの真下にまろび出ることになった。お陰で、あれだけ高いタワーのはずなのにどこにも影も形もないのはどうしたことだろうとキョロキョロ見回し、真上を見上げてようやくここがタワーの真下だと気づくほどだった。

ペトロナス・ツインタワーは1998年竣工の超巨大高層ビルである。タワー1は日本が、タワー2は韓国の業者が建設したもので、さながら日韓共同事業といった趣がある。マイクロソフト・マレーシアはタワー2の30階にあり、フランスのスパイダーマンとして有名なアラン・ロベールは、ここの外壁を二度素手で登っている。

あまりにも高いタワーを見上げながら写真を撮ってみると、不思議と立派に見える写真が撮れた。大地から屹立するタワーが、夜空に向かって天高く聳えている。自然の存在にはない、人工物特有の美しさというようなものがあった。
タワーに登ってみようと、地下にある受付カウンターに向かってみると、ムスリムの受付嬢に「今日はもうチケットの販売は終わってしまった。また明日来てくれ」と言われ、追い払われてしまった。
奥のほうでは、これから本日最後の見学ツアーに参加するのであろう人々が行列をなして、空港の保安検査のゲートと同じ装置をくぐっていたが、どうすることもできず帰るしかないのだった。

ツインタワーにすげなく追い払われて、次に向かったのはホテル・イスタナである。このホテルは、北海道の人気番組『水曜どうでしょう』の企画中で、大泉洋さん・鈴井貴之さんを始めとするどうでしょう班が、1998年と2004年の二度に渡ってこのホテルに滞在し、タマン・ヌガラ国立公園に旅立っていった出発地点として有名である。
本当は是非とも一泊したかったのだが、予約が取れず、仕方なく外から見て、番組と同じアングルから写真を撮ることにした。無論、実際には本当に普通の立派なホテルであって、何の見るべきところもないのであった(ただし、宿泊した人のレビューによれば、値段に見合うだけのホスピタリティのある、実に良いホテルだということらしい。予約が取れなかったのが悔やまれる)。

ドミトリーでは、オランダ人のアンドレアスさんと知り合いになった。ヨーロッパ人らしい、金髪の立派な偉丈夫であった。聞くと、彼もなんとタマン・ヌガラ国立公園にこれから向かうのだといって笑った。もっと色々と話をしたいところだったが、その後は彼と会話をするタイミングはないままで終わってしまった。せっかくだからfacebookのアドレスぐらい訊いとけばよかったと後悔しているが、こう見えて初対面の人とすぐに打ち解けないところのある自分には、なかなかそういうことが難しいのだった(今後の課題である)。

クアラ・ルンプールの写真は、こちらにアップロードしました。

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