バンコクで迎えた初日は、それなりに朝早く起きることに成功すると、さっそく市内を見て回ることにした。
バンコクで見るものといえば、何はなくとも、ワット・プラケオ(王宮)、ワット・ポー(菩薩の寺)、ワット・アルン(暁の寺)である。
カオサン・ロードから、トゥクトゥクを雇ってワット・プラケオに向かうと、そこにはもうすでに大量の人だかりができていた。
中国の年配の観光客たちが団体で記念写真を撮影している横をすり抜けて王宮に入ると、金色に装飾された数々の仏塔や寺院が、私を出迎えた。
仏塔や寺院を彩るのは、精密巧緻をきわめる金細工の数々。寺なのにこんなにギラギラしていていいのかと思ったが、あとで調べたところによると、王室専用の仏教施設だということで、僧侶がここに住んでいるわけではないらしい。
ワット・プラケオの最も重要な寺院のひとつでは、エメラルドの仏像が鎮座ましましている。この仏像は、最初インドのパトナで作られ、その後スリランカに移された。その後、ビルマの王朝がスリランカから仏典を手に入れてビルマに持ち帰る際に一緒に持ち出されるも、船が難破してカンボジアのアンコールトムに流れ着き、アユタヤに移される。その後更にアユタヤからチェンライ、チェンマイ、ラオスのヴィエンチャンを経由して、ようやくバンコクに辿り着いたのだとか。
このエメラルド仏は季節によってタイ国王が衣替えをするという伝統があるらしく、今は冬服を着ていた。
旅の安全と無事をエメラルド仏に祈ってから、ワット・ポーに行き、寝釈迦像を拝み、ワット・アルンを遠くから眺めた。ワット・アルンは別名を暁の寺といい、三島由紀夫の小説の舞台になった寺でもある(私は読んだことはない)。
私が行った時、ワット・アルンではちょうど何かの行事が執り行われているところで、川の対岸から眺めることしかできない日にあたっていた。川べりに向かうと、ワット・アルンを背景に、細く長い形状のドラゴン・ボートに乗った僧侶たちが、祈りの歌を捧げながら、ゆっくりと川を下っていく場面に出くわした。
周囲には、祈りの声がぼうっと響く。観光客が川べりにたくさん張り付いてその様子を眺めているにもかかわらず、その歌声が、黄昏時の川辺を、どこかゆったりとした雰囲気に変えて流れつづけていた。
バンコクの写真は、こちらにアップロードしました。
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